本日お話を伺うのは、口腔粘膜疾患に詳しい佐藤歯科医師です。先生の元には、舌のピリピリ感や赤い斑点を訴える患者さんが数多く訪れます。「患者さんの多くは非常に不安な表情で来院されますが、実はその8割から9割は良性の地図状舌や、生活習慣に起因する舌炎です」と佐藤先生は言います。先生によれば、診断のポイントは「症状が変化するかどうか」だそうです。地図状舌であれば赤い斑点の形が数日で変わりますが、もし2週間以上同じ場所、同じ形で留まり続ける赤い病変がある場合は、より慎重な検査が必要になります。「特に注意が必要なのは紅板症です。これは舌癌に移行する確率が非常に高い病変で、痛みがない場合も多いのですが、一部にピリピリとした刺激を感じることがあります。鏡で見て、赤い斑点の輪郭がぼやけていたり、表面がベルベットのように滑らかで鮮紅色の場合は、迷わず専門医を訪ねてほしいですね」と警鐘を鳴らします。また、最近増えているのが、口腔カンジダ症による赤い斑点です。カビの一種であるカンジダ菌は通常、白い苔状のものを形成しますが、慢性紅斑性カンジダ症という型では、舌が赤くなりピリピリと痛みます。「これは免疫力の低下だけでなく、抗生物質の長期服用などで口の中の菌のバランスが崩れたときにも起こります」とのこと。治療法について伺うと、「まずは丁寧な問診と視診、必要であれば血液検査を行います。原因が特定できれば、多くは適切な投薬と休息で改善します。しかし、何よりも大切なのは患者さん自身が安心することです。舌の痛みは心理的な要因で増幅されやすいため、専門家による『大丈夫ですよ』という言葉が最大の薬になることもあります」。先生のアドバイスからは、舌の異変を決して放置せず、かといって過度に恐れすぎず、科学的な根拠に基づいて対処することの重要性が伝わってきます。定期的な歯科検診は、虫歯だけでなく粘膜の健康を守るためにも極めて重要な役割を果たしているのです。2週間以上症状が続く、あるいは徐々に悪化していると感じる場合は、決して自己判断で放置せず、医療機関を受診することが肝要です。舌は非常に感覚が鋭敏な場所であり、そこにある病変は心身の健康に大きな影響を及ぼします。正しい知識を持ち、早期に適切な対処を行うことが、あなたの大切なQOLを守ることに繋がるのです。
歯科医師に聞く舌のピリピリ感と異常