親知らずの抜歯から3日後のことでした。最初は順調に回復していると思っていたのですが、突如として顎を突き刺すような鋭い痛みに襲われました。それまでの抜歯直後の痛みとは明らかに種類が異なり、痛み止めを飲んでも全く効果が感じられないほどの激痛でした。鏡で抜歯した部分を覗き込むと、そこにあるべき黒っぽい血の塊がなく、不気味に白い骨のようなものが見えていました。後から分かったことですが、私はドライソケットになりやすい人の典型的な行動をいくつも重ねていたのです。最大の後悔は、抜歯当日に何度も激しくうがいをしてしまったことです。口の中に血の味が広がるのが気になり、綺麗にしようと何度も水ですすいでしまったことで、せっかく固まりかけていた大切な血餅を自らの手で洗い流してしまったのです。さらに、私は以前から喫煙習慣があり、歯科医師から禁煙を指示されていたにもかかわらず、痛みのストレスから数本だけタバコを吸ってしまいました。ニコチンが血管を縮め、傷口の修復を遅らせるという警告を軽く考えていた報いでした。夜も眠れないほどの苦しみに耐えかねて歯科医院に駆け込んだ時、先生から「典型的なドライソケットですね」と告げられた瞬間、自分の不注意さを痛感しました。処置としては露出した骨を保護するために薬剤を詰めてもらいましたが、完治するまでの10日間は、食事も会話も苦痛でしかありませんでした。もし過去の自分にアドバイスができるなら、どれだけ気になってもうがいを最小限に留め、舌で傷口を触るような真似は絶対にせず、何よりタバコは1本たりとも吸わないことを徹底させます。ドライソケットの痛みは、経験した者にしか分からない地獄のような感覚です。これから抜歯を控えている人は、私のこの苦い経験を反面教師にして、歯科医師の注意事項を100パーセント守ってほしいと心から願っています。特に「血餅を守る」という意識を強く持つだけで、この無用な苦しみは回避できるはずです。