痛くて憂鬱な白い口内炎との戦い
あれは確か、大きなプロジェクトの締め切りに追われていた週のことでした。朝、歯を磨いていると、舌の側面にチクリとした痛みを感じたのです。鏡で確認すると、そこには直径数ミリの、いかにも痛そうな白いできものが鎮座していました。アフタ性口内炎、俗に言う口内炎です。最初は「またか」と軽く考えていましたが、今回はいつもよりたちが悪かったのです。まず、場所が悪すぎました。話すたび、食事をするたびに歯に触れ、鋭い痛みが走ります。楽しみにしていたランチタイムも、熱いスープや少し酸味のあるドレッシングが傷口に染みて、ただの苦行に変わってしまいました。温かいコーヒーを飲むことさえためらわれ、仕事の合間のささやかな楽しみまで奪われた気分でした。夜、ベッドに入っても舌の痛みが気になってなかなか寝付けません。口の中の小さなトラブルが、これほどまでに生活の質を低下させるとは思いもしませんでした。市販の塗り薬を試したり、ビタミン剤を飲んだり、できることは全て試したつもりです。友人からは「疲れてる証拠だよ」と心配されました。その言葉通り、私の体は限界を訴えていたのかもしれません。結局、その憎き白いできものが完全に消え去るまでには、十日ほどの時間が必要でした。痛みがなくなった朝、いつものように熱いコーヒーを口に含んだ時の安堵感は、今でも忘れられません。たかが口内炎、されど口内炎。健康な体のありがたみを、舌の先で痛感した出来事でした。