口の中にできるものは何でも心配になるものですが、特に舌の赤いできものは気になりますよね。今日は、皆さんのそんな不安を少しでも和らげるために、口腔の専門家としてお話をしたいと思います。まず大前提として、舌にできる赤いできものの九割以上は、心配のいらない一過性の炎症です。例えば、味を感じるための味蕾が腫れる舌乳頭炎や、いわゆる口内炎です。これらは、疲れやストレス、ビタミン不足、物理的な刺激などが原因で起こり、通常は一、二週間もすれば自然に消えていきます。慌てて深刻な病気と結びつける必要はありません。では、どのような場合に注意が必要か。ポイントは「治りの悪さ」と「硬さ」です。二週間以上たっても全く治る気配がない、むしろ大きくなっているという場合は、一度診察を受けた方が良いでしょう。また、表面が赤いだけでなく、指で触れてみた時に内部に硬いしこりのようなものを感じる場合も注意が必要です。良性の炎症は通常、ぷにぷにとした柔らかさがあります。さらに、できものの境界がはっきりせず、周囲の組織に滲むように広がっているように見える場合や、明らかな原因がないのに出血を繰り返す場合も、専門家による診断が望まれます。受診する科としては、耳鼻咽喉科か歯科、口腔外科が適切です。心配な症状があれば、自己判断で様子を見続けるのではなく、ぜひ専門家の目で一度確認させてください。ほとんどの場合は「心配ないですよ」の一言で安心できるはずですし、万が一治療が必要な場合でも、早期発見が最も重要だからです。