腱鞘炎のズキズキとした痛み。「今すぐこの痛みを何とかしたい」そう思った時、病院に行く前に、まず自分でできる応急処置があります。腱鞘炎の治し方の基本中の基本は、炎症を鎮めるための「安静」と「冷却」です。この初期対応を正しく行うかどうかが、その後の回復スピードを大きく左右します。まず、最も重要なのが「安静」です。腱鞘炎は、腱と腱鞘が擦れ合って炎症を起こしている状態です。その原因となった「使いすぎ」の動作を、できる限りやめることが、何よりも優先されるべき治療です。痛みを感じる動作、例えば、パソコンのマウス操作や、スマートフォンの親指での入力、重いものを持つといった行為を、意識的に避けましょう。しかし、仕事や育児などで、完全に手を使わないようにするのは難しいかもしれません。その場合は、サポーターやテーピングを活用して、患部を固定し、動きを制限するのも非常に有効です。手首用のサポーターは、ドラッグストアなどで手軽に購入できます。テーピングは、専門的な知識がなくても、痛む腱の走行に沿って貼るだけで、筋肉の動きを補助し、腱への負担を軽減する効果が期待できます。次に、炎症を抑えるための「冷却(アイシング)」です。痛みや腫れ、熱感がある場合は、患部が熱を持っている証拠です。この時期に温めると、かえって炎症を悪化させてしまうため、必ず冷やすようにしてください。氷嚢(ひょうのう)や、タオルで包んだ保冷剤などを、15分から20分程度、患部に当てます。冷たさで感覚がなくなってきたら一度離し、また痛みが出てきたら冷やす、というのを繰り返します。お風呂も、長湯は避けてシャワーで済ませるか、入浴する場合は患部を湯船につけないようにしましょう。この「安静」と「冷却」は、腱鞘炎を発症した直後の「急性期」において、最も効果的なセルフケアです。痛みのサインを無視して無理を続けると、症状は慢性化し、治りにくい状態になってしまいます。まずは勇気を持って手を休ませ、そしてしっかりと冷やす。それが、腱鞘炎をこじらせないための、賢明な第一歩なのです。