唇がただれてしまい、ヒリヒリとした痛みに悩まされている時、市販薬は頼りになる存在です。しかし、ドラッグストアに行くと、様々な種類の唇用治療薬が並んでおり、どれを選べば良いのか迷ってしまいますよね。症状に合わない薬を選んでしまうと、効果がないばかりか、かえって悪化させてしまうこともあります。ここでは、自分の唇の状態に合わせた、正しい市販薬の選び方について解説します。まず、唇のただれに使う市販薬は、その効能や成分によって、大きく三つのカテゴリーに分けられます。一つ目は、「保湿・保護」を目的としたものです。主成分はワセリンなどで、医薬品ではなく「化粧品」や「医薬部外品」に分類されます。これは、ごく軽いカサつきや、ただれの予防、あるいは回復期のデリケートな唇を外部の刺激から守るために使います。炎症を直接抑える効果はありません。二つ目は、「炎症を抑える」ことを目的としたものです。「第3類医薬品」や「指定第2類医薬品」に分類され、抗炎症成分が含まれています。例えば、グリチルレチン酸などの比較的穏やかな抗炎症成分を含むものは、軽い赤みやひび割れに適しています。一方、プレドニゾロンなどのステロイド成分を含むものは、より強力に炎症を抑える作用があります。赤みや腫れ、ただれがひどい場合に有効ですが、長期間の使用は避け、症状が改善したら使用を中止する必要があります。また、口唇ヘルペスが疑われる場合は、ステロイドを使用すると悪化するため、絶対に使ってはいけません。三つ目は、「組織の修復を促す」ことを目的としたものです。「第3類医薬品」に分類され、アラントインやパンテノールといった、傷ついた粘膜組織の修復を助ける成分が配合されています。ひび割れや皮むけがひどく、早く治したい場合に適しています。これらの特徴をふまえ、自分の症状を見極めて選ぶことが大切です。軽い乾燥なら保湿系、赤みやただれがあるなら抗炎症系、ひび割れが気になるなら修復系、といった具合です。ただし、水ぶくれがある場合や、二週間近く使っても改善しない場合は、市販薬での対応の限界です。速やかに皮膚科を受診しましょう。
唇のただれに効く市販薬の選び方