歯科外来において、下唇の内側の口内炎を訴えて来院される患者様は非常に多く、そのほとんどが痛みによって日常生活に支障をきたしています。歯科医師の立場からアドバイスさせていただくと、まず重要なのは、その口内炎がなぜ「その場所」にできたのかという物理的な要因を探ることです。下唇の内側に繰り返し口内炎ができる場合、歯並びや詰め物の角が鋭利になっていて、常に粘膜を刺激している可能性が高いです。また、噛み合わせの不具合によって、咀嚼のたびに下唇を巻き込んでしまっているケースも見受けられます。このような物理的な原因がある場合、いくら薬を塗っても根本的な解決にはならず、刺激となっている歯の角を丸める「形態修正」という処置が必要になります。また、口内炎のタイプを見極めることも不可欠です。境界がはっきりした白いアフタ性口内炎であれば一般的な治療で済みますが、もし患部が硬くなっていたり、出血しやすかったり、あるいは形が不整であれば、口腔癌などの重篤な疾患を否定するために精密検査が必要になることもあります。痛みを即座に緩和したい場合は、歯科医院でのレーザー治療が非常に有効です。レーザーを照射することで神経を一時的に麻痺させ、殺菌と組織の活性化を同時に行うことができるため、治癒期間を大幅に短縮できます。ご家庭でのセルフケアとしては、市販のステロイド軟膏を使用する際、患部の水分を軽くガーゼで拭き取ってから塗布するようにしてください。唾液で濡れたままでは薬が密着せず、十分な効果が得られません。また、下唇の内側は外的刺激を受けやすいため、食後や就寝前の念入りなうがいによる除菌も忘れないでください。最後に、口内炎は免疫の鏡です。頻繁に発症するということは、慢性的な睡眠不足や胃腸の荒れ、あるいは過度のストレスが背景にあることが多いです。口腔内の処置と並行して、生活リズムを整えることが、下唇の内側の平穏を取り戻すために不可欠な要素であることを知っておいてください。
歯科医師が教える下唇の内側の口内炎対策