何をしても唇のただれや皮むけが治らない。一年中、唇の表面がガサガサで、薄い皮が絶えず剥け落ちて、いつも赤くヒリヒリしている。そんな慢性的な症状に悩まされているなら、それは単なる唇の荒れではなく、「剥脱性口唇炎(はくだつせいこうしんえん)」という、難治性の口唇炎かもしれません。剥脱性口唇炎は、その名の通り、唇の角質が異常な速さで剥がれ落ちてしまう状態が、慢性的に続く病気です。唇全体、特に下唇に症状が出やすいとされています。常に新しい皮がめくれてくるため、唇はいつも赤く、ツヤがなく、乾燥しています。炎症を伴うため、ヒリヒリとした痛みや、食べ物がしみるといった症状に悩まされます。見た目も気になるため、精神的なストレスを感じる方も少なくありません。この剥脱性口唇炎のやっかいな点は、その原因が完全には解明されていないことです。アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質が素因にあるとも言われていますが、はっきりとした原因が特定できないケースも多くあります。また、症状を悪化させる大きな要因として、機械的な刺激が挙げられます。唇の皮がむけるのが気になって、無意識のうちに指でむしってしまったり、唇を舐めたり、上下の唇をすり合わせたりする癖が、症状を慢性化させる悪循環を生み出していることが多いのです。この癖を断ち切らない限り、どんなに良い薬を塗っても、なかなか完治には至りません。治療は、まずステロイド外用薬などで炎症を抑え、同時にワセリンなどで徹底的に保湿と保護を行います。そして、何よりも重要なのが、唇を絶対に触らない、皮をむかない、舐めない、という「刺激を断つ」ための、根気強い生活指導です。無意識の癖を治すのは容易ではありませんが、これが治療の核心部分となります。もし、あなたの唇のただれや皮むけが、何ヶ月、あるいは何年も続いているのであれば、一人で悩まずに、皮膚科の専門医に相談してください。剥脱性口唇炎は、根気強い治療が必要ですが、専門家と二人三脚で取り組むことで、必ず改善の道は見えてくるはずです。
治らない唇のただれ剥脱性口唇炎とは