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歯周病による奥歯の歯茎の腫れと対処法
奥歯の歯茎が、全体的にブヨブヨと赤く腫れ、歯磨きをすると簡単に出血する。このような症状がある場合、その原因は「歯周病」である可能性が非常に高いと言えます。歯周病は、日本人の成人の約8割が罹患しているとされる国民病であり、歯を失う最大の原因です。その初期段階である「歯肉炎」や、進行した「歯周炎」の典型的な症状が、歯茎の腫れなのです。歯周病による腫れのメカニズムは、歯と歯茎の境目に付着した歯垢、すなわちプラークが原因です。プラークは単なる食べ物のカスではなく、細菌が塊となって形成した強力な膜(バイオフィルム)です。このプラークの中に潜む歯周病菌が、代謝の過程で毒素を放出します。すると、私たちの体は、この毒素を排除しようとして、歯茎に血液中の白血球などを集めて防御反応を起こします。この時に、血管が拡張して血流が増加するため、歯茎が赤く腫れ上がり、少しの刺激で出血しやすい状態になるのです。特に奥歯は、歯ブラシが届きにくく、複雑な形をしているため、プラークが残りやすい場所です。そのため、歯周病が最も進行しやすいエリアの一つと言えます。歯周病による歯茎の腫れへの対処法は、その原因であるプラークを徹底的に除去することに尽きます。まず、自分で行うセルフケアとしては、「丁寧なブラッシング」が基本です。歯ブラシの毛先を、歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、優しく小刻みに動かして、ポケットの中の汚れをかき出すように磨きましょう。腫れているからといって歯磨きを怖がって避けていると、さらにプラークが溜まり、症状は悪化する一方です。また、歯ブラシだけでは歯と歯の間のプラークは6割程度しか除去できません。必ず、「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」を併用し、歯間の清掃を徹底してください。そして、最も重要なのが「歯科医院での専門的なケア」です。セルフケアだけでは除去できない硬い歯石や、歯周ポケットの奥深くに潜むバイオフィルムは、歯科医師や歯科衛生士による専門的な器具でしか取り除くことができません。定期的なクリーニングを受けることが、歯周病の進行を食い止め、腫れを根本から改善するための鍵となります。