生活
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舌の赤いできものと舌乳頭のふしぎ
私たちの舌の表面は、実は平らではありません。よく見ると、細かい突起が無数に並んでいるのが分かります。これは舌乳頭と呼ばれ、味を感じる味蕾が存在する非常に重要な組織です。そして、時折私たちを悩ませる舌の赤いできものの多くは、この舌乳頭が何らかの原因で炎症を起こした状態、すなわち舌乳頭炎であることが少なくありません。舌乳頭にはいくつかの種類があり、形状や分布する場所が異なります。例えば、舌の先端部に多く見られるのが茸状乳頭で、その名の通りキノコのような形をしています。この部分の血管が透けて見えるため、もともと少し赤みを帯びています。何らかの刺激、例えば熱いものを食べたり、物理的に傷つけたりすると、この乳頭が充血してさらに赤く腫れ上がることがあります。これが、一般的に「舌に赤いできものができた」と感じる現象の一因です。また、ストレスや栄養不足によって体の抵抗力が落ちると、舌乳頭は容易に炎症を起こします。風邪をひいた時に舌が赤く腫れぼったくなるのも、全身の免疫機能の低下が舌の状態に現れている一例と言えるでしょう。このように、舌の赤いできものは、舌という繊細な器官が体の状態を映し出す鏡のような役割を果たしている証拠でもあります。ただのできものと侮らず、なぜそれができたのか、自分の体調や生活習慣を振り返るきっかけとして捉えることで、より深い健康管理に繋がるかもしれません。舌の小さな変化は、体からの大切なメッセージなのです。