辛い腱鞘炎の痛みが、治療によってようやく和らいだ。しかし、ここで安心してしまうのはまだ早いです。腱鞘炎は、一度良くなっても、原因となった生活習慣を改めなければ、何度でも再発する可能性が高い、非常に厄介な疾患です。治療以上に大切なのが、この「再発予防」です。日常生活の中で、少し意識を変えるだけで、腱鞘炎のリスクを大幅に減らすことができます。まず、最も重要なのが、手首や指に負担をかけない「体の使い方」をマスターすることです。パソコン作業をする際は、手首が曲がった状態が続かないように、椅子や机の高さを調整し、手首の下にリストレストなどを置いて、腕から手首がまっすぐになるように心がけましょう。マウスやキーボードも、人間工学に基づいて設計された、手首への負担が少ない製品に買い換えることを検討するのも良いでしょう。スマートフォンを操作する際は、片方の親指だけで長時間操作するのではなく、両手で持って、人差し指なども使い、指への負担を分散させることが大切です。育児で赤ちゃんを抱っこする際は、手首だけで支えるのではなく、腕全体で、そして体幹を使って抱えるように意識します。また、同じ作業を長時間続けないことも重要です。一時間に一度は、5分から10分程度の休憩を取り、手を休ませてあげましょう。その休憩時間を利用して、前述したような手首や指の「ストレッチ」を行うと、さらに効果的です。筋肉の緊張がほぐれ、血行が促進されることで、疲労の蓄積を防ぎます。そして、日頃から手首周りを冷やさないようにすることも大切です。血行が悪くなると、筋肉や腱が硬くなり、炎症が起こりやすくなります。特に、冬場や冷房の効いた室内では、アームウォーマーなどを活用して、手首を保温するよう心がけましょう。これらの予防策は、どれも地道で、すぐに効果が見えるものではありません。しかし、この小さな習慣の積み重ねこそが、腱鞘炎の再発という、あの辛い痛みからあなたを解放してくれる、最も確実な「治し方」なのです。
腱鞘炎を再発させない!日常生活でできる予防策