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腱鞘炎になったら病院へ行くべき?何科を受診する?
手首や指の痛みが続き、セルフケアを試してもなかなか改善しない。そんな時、「病院に行くべきか、もう少し様子を見るべきか」「もし行くなら、何科を受診すればいいのか」と悩む方は多いでしょう。結論から言うと、痛みが一週間以上続く、あるいは日常生活に支障が出るほどの強い痛みがある場合は、自己判断で放置せず、速やかに「整形外科」を受診することを強くお勧めします。整形外科は、骨、関節、筋肉、腱、神経といった、体を動かす「運動器」の疾患を専門とする診療科です。腱鞘炎は、まさにこの運動器の代表的な疾患であり、整形外科医は、その診断と治療のエキスパートです。なぜ、病院に行くべきなのでしょうか。その最大の理由は、「正確な診断」を受けるためです。手首や指の痛みは、腱鞘炎だけでなく、関節リウマチや変形性関節症、あるいは神経の圧迫(手根管症候群など)といった、別の病気が原因で起こっている可能性もゼロではありません。これらの病気は、それぞれ治療法が全く異なるため、専門医による鑑別診断が不可欠です。整形外科では、問診や触診に加えて、必要に応じてレントゲン検査や超音波(エコー)検査を行い、骨に異常がないか、腱や腱鞘の状態はどうなっているかを詳しく調べ、診断を確定させます。そして、診断が確定すれば、「専門的な治療」を受けることができます。セルフケアの基本である安静を徹底するための、適切なサポーターや装具の処方。炎症を強力に抑えるための、湿布や塗り薬、内服の消炎鎮痛剤の処方。痛みが非常に強い場合には、炎症を起こしている腱鞘内に、直接ステロイドを注射する「腱鞘内注射」も行われます。この注射は、劇的な痛みの改善効果が期待できる、非常に有効な治療法です。さらに、症状が慢性化し、これらの保存療法で改善しない場合には、肥厚した腱鞘を切り開いて、腱の動きをスムーズにする「手術」という選択肢も検討されます。痛みを我慢し、自己流のケアを続けることは、症状を悪化させ、治療を長引かせるだけです。専門医の力を借りることこそが、辛い痛みから解放されるための、最も確実で安全な近道なのです。