2025年9月
-
顔の腫れを恐れず親知らず抜歯に臨む
親知らずの抜歯と聞いて、多くの人が手術の痛みよりも、術後に顔がパンパンに腫れ上がることへの恐怖や不安を抱くのではないでしょうか。大切な仕事やイベントの前に、顔が腫れてしまったらどうしよう。いつになったら元の顔に戻るのだろう。そうした不安から、抜歯を先延ばしにしてしまう気持ちは、非常によくわかります。しかし、知っておいてほしいのは、その腫れは永遠に続くものではなく、必ず引く一時的なものであるということです。そして、多くの場合、抜歯後の腫れという短期的なデメリットよりも、問題のある親知らずを放置し続ける長期的なリスクの方が、はるかに大きいのです。痛みを繰り返す智歯周囲炎、健康な隣の歯を溶かしてしまう虫歯や歯周病、歯並び全体への悪影響。これらを放置した結果、将来的にさらに大掛かりな治療が必要になったり、大切な歯を失ったりする可能性もあります。抜歯後の腫れは、体が傷を治そうと頑張っている証拠であり、正常な治癒過程です。ピークは術後二、三日で、一週間もすればほとんど目立たなくなります。その数日間を乗り切れば、長年の悩みの種だった親知らずの問題から解放され、すっきりとした快適な口腔環境を手に入れることができるのです。腫れへの不安は、歯科医師に正直に伝えましょう。いつ頃が腫れのピークで、どれくらいの期間で治まるのか、具体的な見通しを教えてもらうだけでも、心の準備ができて不安は和らぎます。腫れを最小限に抑えるための術後のケアについても、丁寧に指導してくれます。腫れという一過性の現象を過度に恐れるのではなく、将来の自分の健康への投資だと前向きに捉えること。それが、勇気を出して抜歯に臨むための大切な心構えと言えるでしょう。