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知っておきたい親知らずの基礎知識
親知らずという言葉は誰もが知っていますが、その正体について詳しく知る機会は意外と少ないかもしれません。正式名称を「第三大臼歯」と言い、永久歯の中で最も後ろ、つまり中央の歯から数えて八番目に位置する歯のことを指します。智歯とも呼ばれます。多くの人が悩まされるこの歯について、基本的な知識を持っておくことは、いざという時に冷静に対処するために役立ちます。まず、親知らずは必ずしも四本全てが生えてくるわけではない、ということを知っておきましょう。上下左右に一本ずつ、合計四本あるのが基本形ですが、もともと歯の元となる歯胚がない「先天性欠如」の人もいれば、一本や二本しか生えてこない人もいます。これは遺伝的要因が大きく、決して異常なことではありません。生えてくる時期は、一般的に十代後半から二十代前半ですが、これも個人差が大きく、三十代以降に生え始める人もいます。親知らずが問題となりやすい最大の理由は、現代人の顎が小さくなっていることにあります。食生活の変化により、硬いものを噛む機会が減ったため、顎が十分に発達せず、最後に生えてくる親知らずのためのスペースが不足しがちなのです。そのため、まっすぐ生えることができずに、斜めや横向きになったり、骨の中に埋まったままになったりします。これが、痛みや腫れ、歯並びへの影響といった様々なトラブルの原因となります。もし親知らずが生えてきたら、あるいは奥歯に違和感を感じたら、まずは歯科医院でレントゲンを撮ってもらうことが重要です。レントゲンを見れば、自分の親知らずが何本あり、どのような向きで、どこに埋まっているのかが一目瞭然となります。そして、その状態に基づいて、抜歯が必要なのか、それとも経過観察で良いのかを専門家が判断してくれます。正しい知識を持つことが、親知らずへの漠然とした不安を解消する第一歩となるのです。