2025年8月
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歯並びと顎が舌噛みの原因になる?
睡眠中に舌を噛んでしまう原因として、ストレスや疲労と並んで重要なのが、歯並びや顎の構造といった物理的な要因です。自分では気づきにくいかもしれませんが、口腔内のスペースの広さや歯の生え方は、舌の収まり具合に直接的な影響を与えます。例えば、もともと顎が小さい、いわゆる小顔の人は、必然的に舌が収まるスペースも狭くなります。そのため、舌が少し動いただけでも歯に触れやすく、睡眠中の無意識な動きの中で噛んでしまうリスクが高まるのです。また、歯並みが乱れていて、特定の歯が内側、つまり舌側に傾いて生えている場合も同様です。その傾いた歯が、舌の定位置を邪魔してしまい、常に舌が歯に接触しやすい状態を作り出してしまいます。このような状態は「歯列不正」と呼ばれ、見た目の問題だけでなく、機能的な問題を引き起こすことがあるのです。さらに、噛み合わせの悪さも舌を噛む一因となります。上下の歯が正しく噛み合っていないと、食事の時だけでなく、無意識のうちに顎が不安定な動きをすることがあります。この不安定な動きが、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりを誘発し、結果として舌を巻き込んでしまうことにつながるのです。これらの物理的な問題は、生活習慣の改善だけでは解決が難しいケースがほとんどです。もし、頻繁に舌の同じ場所を噛んでしまう、あるいは日中から舌に歯の跡がついていることが多いと感じるなら、一度歯科医師や矯正歯科の専門医に相談することをお勧めします。専門家による診断を受ければ、自分の口腔内の状態を正確に把握できます。必要に応じて、噛み合わせの調整や矯正治療、あるいは睡眠中の舌や歯を守るためのマウスピースの作成といった、具体的な解決策が見つかるはずです。口の中の環境を整えることが、快適な睡眠への近道となるかもしれません。